【横浜 離婚】 親権って母親が有利で父親が不利って本当?

2019年4月26日

 「親権って、結局母親しか取れないんですよね。」「父親じゃ無理ですよね。」という言葉を相談者や依頼者からよく聞きます。実際、母親が親権を取得することが多いので、「母親=有利、父親=不利」と思っていらっしゃる方が多いと思います。しかし、私の経験からすると、決して母親だから有利、父親だから不利という訳ではありません。今回は、親権についてお伝えいたします。

 

 「親権者をどちらに指定するか」の基準

 親権者の指定の基準は、「子の福祉のために」が基準になります。具体的には、①父母双方の事情(監護する意欲と能力、健康状態、経済的・精神的家庭環境、居住・教育環境、子供に対する愛情の程度、実家の資産、親族等の援助の可能性)、②子供の側の事情(年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への対応性、子供の意向)などを比較衡量しながら、「子の福祉のために」どちらが親権者として適切か決めます。ですので、離婚訴訟などで親権が争われている場合、父母双方に上記事情を報告してもらい、必要に応じて、心理学や社会学の専門知識がある家庭裁判所調査官が、父母双方の話を聞いたり、子供の話を聞いたりするだけでなく、双方の自宅の家庭訪問を行ったりして、上記事情を調査し、「子の福祉のために」どちらが親権者として適切か意見を述べたりします。

 とはいえ、父母それぞれの事情や子供の事情を調査して「子の福祉のために」を基準にして親権者を決めると言われても分かりづらいですよね。
 上記事情の中で、いくつか重視される事情や考え方があります。

 

 現状維持の基準(継続性の原則)
 

 変更すべき特段の事情がない限り、既に監護を続けている、その同一の監護者が引き続き監護すべきという基準です。大人に比べ子供の方が環境への適応能力があるとはいえ、環境が変化することにより精神的に不安定になることは否めません。そこで、現在の環境に問題がない限り、そのままの環境を維持させようという基準です。
 実務では、この基準が他の基準より優先されて利用されることが多いです。例えば、家庭裁判所調査官への調査命令が「父母いずれが親権者として適切か」ではなく、「現に監護している父又は母が親権者として適切か」という内容で出されることがあります。
 とはいえ、家庭裁判所は実力行使による子供の奪い合いを認めません。実力行使による子供の奪還は、子供の心に大きな傷を残しますので当然のことです。また、実力行使で子供を奪って現に監護している親を親権者として指定すれば、裁判所が実力行使による奪い合いを認めたことになりかねません。ですので、現状が尊重はされますが、決して実力行使で子供を奪還することはおすすめしません。

 

 母親優先の基準
 

 乳幼児について、特別の事情がない限り、母親の監護が優先されるという基準です。この基準があるので、巷では「母親が有利」と思われているようですが、父母の役割が多様化している現在では、必ずしも母親が優先とは言い切れません。むしろ、父母の別居後、実際に監護しているのが母親であることが多いことから、親権者が母親に指定されることが多いと思われます。私の経験で、乳幼児の親権を父親が取得したこともありますので、母親優先の基準は絶対ではありません(とはいえ、裁判官によっては、まだこの基準に引きずられている人がいることも否ませんが)。

 

 子供の意思の尊重の基準
 

 子供が15歳以上のときだけでなく(法的に、子供の意向の聴取が必要とされます)、15歳未満でも、子供の意思が分かる場合は、子供の意思が尊重されるという基準です。大体10歳以上の子の意思が尊重される傾向にあります。もっとも、子供の意思は親の意向に左右されやすいため、子供の意思確認の方法は適切な配慮がなされなくてはなりませんし、子供の意向だけで親権者が決まるわけではありません。

 

 兄弟姉妹不分離の基準
 

 兄弟姉妹は可能な限り同一人によって監護されるべきであるという基準です。子の年齢があがり、既に兄弟姉妹が分離して養育されて安定している状況であれば、その環境維持を優先するということもあります。

 

 以上がよく家庭裁判所で採用される基準になります。実務的な感覚では、どの基準も絶対的ではありませんが、現状維持が優先される傾向にあります。とはいえ、実力行使による子供の奪還は厳禁です。

 

 離婚原因は親権取得に影響する?
 

 例えば、不貞や暴力が原因だった場合、それは親権に影響するでしょうか。
 不貞は、あくまでも夫婦間の問題ですので、「不貞した=親権者として不適格」とはなりません。もっとも、子供の面前で不貞行為に及ぶことは心理的虐待となり親権の判断に影響します。
 家庭内暴力は、子供の面前で行われることが往々にしてあります。子供の面前での暴力は心理的虐待にあたりますので、親権の判断に影響します。暴力が子供の面前で行われなかったとしても、将来的な子供への暴力の可能性もあることから、やはり親権の判断に影響します。

 

 配偶者との離婚を考えていて、自分が親権を取得したいと思われている方は、どのような準備を行い、どのようなタイミングで別居に踏み切るか、離婚に向けてだけではなく、親権取得に向けた検討も必要ですので、お早めにご相談ください。ご相談者の方の生活に沿った形で一緒に考えていきましょう。

 

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