養育費はどうやって取り立てる?~民事執行法改正での変化~
明石市が、一定の要件のもと、養育費不払いの人の氏名を公表する条例制定を目指すというニュースが話題を呼びましたね。これは民事執行法が改正されることを受けてと報道がなされています。
改正民事執行法が施行されると、養育費の取り立てがどう変わるのか。今回は養育費の取立てについてお話しします。
そもそも、どうやって養育費は決まるの?
養育費とは、父母が離婚後、非監護者が監護者に対し、未成年者が一定の年齢になるまで、未成年者の年齢や双方の収入に応じて、支払われる金銭のことを言います。
「一定の年齢」とありますように、たいていは20歳ですが、大学進学などを予定している場合は22歳だったりします。また、「未成年者の年齢や双方の収入に応じて」とありますように、養育費の金額は一律に決まるものではなく、時の経過と共に変動するものでもあります。
養育費は、父母が子供に必要な費用を分け合うという意味合いがあることから、父母間で合意できればいくらでも構いません。合意が出来ない場合、家庭裁判所では算定表を参考に決めていることが多いため、異論も多いですが、多くのご家庭では算定表を元に養育費の金額を決めています。
養育費を支払ってもらえない場合はどうするか?
養育費が家庭裁判所の調停や裁判で決まったにもかかわらず、監護者が非監護者に請求しても支払われない場合は、「履行勧告」という制度があります。
養育費についての履行勧告とは、非監護者が養育費を支払わない場合、監護者が家庭裁判所に申し出をすると、家庭裁判所が非監護者に対し、養育費を支払うよう説得したり勧告したりする制度です。費用はかかりません。裁判所からの勧告なので一定の効果はありますが、守らなかったといって制裁はありません。
それ以外の方法は、強制執行です。
家庭裁判所の調停や裁判で養育費が決まっていれば、非監護者の預貯金や給与を差し押さえることができます。とはいえ、非監護者の預貯金や職場がどこにあるのか、監護者自身が探さなくてはなりません。離婚前に非監護者の通帳や給与明細のコピーを取っていれば、差押え先は分かりますが、夫婦のお財布が元々別で通帳のありかも分からないとか、離婚後に非監護者が転職してしまった場合などは、とても苦労します。それで、養育費の金額が決まっていても、支払いを受けられない人が多くなっているのが現状です。
民事執行法の改正でどう変わるか?
ブログ「財産の差し押さえができず困ったことはありませんか?~民事執行法が改正されます~」で書きましたが、民事執行法が改正され、第三者からの情報取得手続きが新設されました。
養育費の請求については、市町村や年金機構・共済から、給与(勤務先)の情報のうち、強制執行に必要な情報を取得することが出来るようになりました。勤務先が分かれば、一度の差押え手続きで将来支払われるべき養育費についても差し押さえることができますので、大変実効性のある制度です。ただ、相手にも裁判所の決定に基づいてその財産に関する情報の提供がなされた旨の通知がいきます。相手にどのような通知されるかは改正民事執行法の施行を待つ必要がありますが、どちらにせよ、情報取得後の差押え手続きは迅速にする必要があるようですし、今後、運用などが決まっていきますので、差押えでお困りなことがありましたら、お気軽にご相談ください。