相続財産管理人ってなにする人?

 2021年の民法改正で、相続財産管理人制度が若干変更になりますが、今回は、改正内容ではなく、どんなときに利用するものなのか、相続財産管理人はどういう仕事をするのか、お話ししたいと思います。

 民法951条に「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」とされ、民法952条に「前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。」と定められています。
 つまり、相続人がいない場合やいるかわからない場合は、家庭裁判所への請求によって相続財産管理人が選任されることになります(改正後は相続財産管理人ではなく「相続財産清算人」になります)。

 「相続人がいるかわからない」とはどういうときでしょうか。日本は戸籍制度があるので想像つきにくいかもしれませんが、例えば、①法定相続人はいるが、全員相続放棄をしてしまって、相続人がいなくなってしまったときとか、②法定相続人もいない場合が想定されます。

 どんなときに利用するか。

 では、相続財産管理人の選任申立てはどういった場合にするのでしょうか。
 例えば、不動産を所有していた方が亡くなったが、債務超過で、法定相続人全員が相続放棄した場合などは、抵当権者の金融機関などが債権回収するために申し立てることが多いです。時には、共有持分をもっていらっしゃる方が申立をすることもあります。他には、相続人がいない方が亡くなり、相続人ではない親族の方が、生前亡くなった方の面倒をみていたり、葬祭費を出していたりした場合に、その親族の方が申し立てることもあります。

 相続財産管理人の仕事とは

 先にお話ししたようなケースで選任された相続財産管理人は、どんな業務を行うのでしょうか。
 一言で言えば、相続財産を管理し、不動産等財産的価値がある物は売却して換価し、債務を弁済し、特別縁故者の相続財産分与の申立があればその意見を述べ、残余があれば国庫に帰属させる業務を行います。相続財産管理人は、保存行為、性質を変えない範囲での利用または改良行為の権限しかないため、権限外の行為を行う場合は、家庭裁判所に許可をもらって行うことになります。
 ご自宅に伺い財産関係を把握して目録を作製し、被相続人が納骨されていなければ納骨したり、墓地を管理する方がいなければ墓じまいをしたりします。不動産だけでなく、価値がある家財や宝飾品、外貨などは換価して現金化します。
 相続財産管理人の業務は、財産管理と清算が主な仕事ではありますが、ご自宅に伺ったり、生前を知る方からお話を伺ったりして、被相続人の人柄や足跡を知り、被相続人の残された想いを感じ取る仕事でもあります。

 私たち弁護士は、家庭裁判所に相続財産管理人として選任される場合もあれば、相続財産を処分したい方に依頼されて選任申立の代理人をすることもあります。
 亡くなられた方の財産処理でお困りのことがありましたら、ご相談ください。 

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