特別養子縁組制度が変わります!!

 特別養子縁組について、2019年6月7日、改正法が成立しました。

 特別養子縁組って?

 みなさんにはあまり馴染みのない制度かもしれませんが、特別養子縁組とは、実方の血族との親族関係が終了する縁組をいいます。簡単に言うと、特別養子縁組をすることにより、自分と血がつながっている親族と法律上親族ではなくなってしまうという制度です。家庭に恵まれない子に温かい家庭を提供し、その健全な養育を図ることを目的に創設された制度です。
色々と要件はありますが、従来、①実親(血のつながった親)の養育が著しく困難又は不適当であること、②実父母の同意が必要なこと、③実質的な親子関係を作りやすいという理由から、養子となる子は原則6歳未満であること、④6か月の試験養育を経なくてはならないことが要件となっていました。そして、養親(養子と縁組みをした親)となるべき人が、家庭裁判所に縁組みをしたいと申立をしなくてはなりませんでした。

 どこが使いずらかったか。

 厚生労働省が現場を調査したところ、「年齢制限が低すぎて利用できなかった」「実父母の同意が途中で撤回されるなどして利用できなかった」などの声が多く上がりました。
 そこで、今回、(1)対象年齢の拡大、(2)家庭裁判所の手続を合理化して養親候補者の負担を軽減することを主眼に改正がなされました。

 

 どんな改正がされたか。

 (1)養子候補者の上限年齢が引き上げられました。

 従来、養子候補者の上限年齢は原則が6歳未満で、例外も8歳未満でした(要件③)。
 今回の改正により、上限年齢は原則が15歳未満と大幅に引き上げられました。また、15歳に達する前から、養親候補者が養子候補者を養育していてやむを得ない場合は、18歳(審判(裁判所の判断)確定時)まで可能になりました。

 

 (2)家庭裁判所の手続がふたつになりました。

 従来、家庭裁判所では、先ほど説明した4つの要件などを一度に審理していました。そのため、実親の養育が不適当か分からないまま養子候補者の養育をしなくてはならなかったり(要件④)、審判が確定するまでに実父母が同意を撤回したり(要件②)、養親候補者が、実親の養育が不適当であることを立証しなくてはならない負担(要件①)がありました。
そこで、特別養子適格の確認の審判と特別養子縁組成立の審判のふたつに手続が分かれることになりました。
 特別養子適格の確認の審判では、実親の養育状況(要件①)や実父母の同意の有無(要件②)を審理することになりました。実父母は、家庭裁判所の期日等で同意すると、一定期間後同意の撤回ができなくなりました。また、この特別養子適格の確認の審判は、養親候補者だけでなく児童相談所長も申し立てすることができるようになったため、実親と養親候補者との対立が避けられるようになりました。
 特別養子縁組成立の審判では、養親候補者と養子候補者のマッチングがおこなわれます(要件③)。この手続に実親は参加することができません。特別養子適格の確認の審判が確定するまで試験養育するのは不安という人は、特別養子適格の確認の審判が確定して、特別養子縁組成立の審判がはじまる前に試験養育を開始すれば良いことになりました。

 以上が改正内容になります。
 現在、国では、家庭に恵まれない子でもなるべく家庭的な場で過ごせるよう里親制度を促進しています。今後、改正された特別養子縁組がどのように運用されるか、見守っていきたいです。なお、施行は改正法成立の日から1年以内です。

 

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