上手な遺言作成の切り出し方とは?

 当事務所のブログでも何度も触れていますが,将来の相続に関する紛争を避けるために,遺言を作成しておくことは極めて有用です。

 ただ,推定相続人であるあなたが,いくら遺言作成の必要性を感じても,肝心の(将来の)被相続人の方が,同じ考えに至ってくれなければ遺言を作成することはできません。もちろん,無理矢理に遺言を書かせるなんてことはご法度ですが,「遺言を書いてみようか。」という気持ちにさせることはなかなか難しい面もあると思われます。たしかに,まだ元気な(将来の)被相続人の方からすれば,自分が亡くなることなんて想像したくないでしょうから,「遺言」というワードを出すだけで気分を害されてしまうかもしれません。他方で,推定相続人の方としても,(将来の)被相続人の方には,いつまでも元気でいてほしいでしょうから,そのような話をするのは心苦しいと思います。

 それでも,人はいずれ間違いなく亡くなりますし,その前に遺言作成に必要な判断能力を失うことも考えられます。いざそうなった時に遺言を作成していない,悪くすれば財産の内容すら把握できていない,なんてことになっても後の祭りです。このようなご時世ですから,いつどのようなことになるかは誰にも分かりませんし,明日も必ず元気だという保障など,どこにもありません。

 

 ということで,遺言作成の上手な切り出しを考えてみると,必要なのは,(将来の)被相続人の方に,上記のことを理解してもらうことになります。具体的な方法としては,ストレートに伝えることが,まず考えられるところです。「それができればこんなブログ読まない!」というお叱りの声が聞こえてきそうなので,次の手を考えてみますと,当事務所でも過去に開催しておりましたが,各所で相続に関するセミナーが実施されておりますので,そのパンフレットや,弁護士事務所のリーフレットなどをさり気なく目の届く場所に置いておく方法が考えられます。(将来の)被相続人の方が気に留めてくれれば,一緒にセミナーに参加したり,弁護士事務所に相談に行くことを提案してみましょう。同様に,相続に関するテレビ番組もたまに放送されておりますので,何気なく一緒に見ることも考えられますが,これはタイミングが難しいでしょうから,気になった番組があれば録画しておいて,いつでも一緒に見られるようにしておくのがよいでしょう。

 遺言作成の話を切り出す際には,推定相続人の方が「自分も遺言を作成するから一緒に作ろう。」と持ちかけてみてもよいかもしれません。そうすれば,遺言作成は元気なうちにこそ必要なんだということが伝わるのではないでしょうか。

 ただ,結局は(将来の)被相続人の方との関係性が大事なんだと思います。普段は全く連絡をくれないような人から突然遺言の話を切り出されたら,誰だって良い気分ではないでしょう。常日頃から何でも話せるような関係性を築いておくことが必要なのではないでしょうか。

 

 現在は,どの公証役場でも,アクリル板の設置,消毒液の備置,マスク着用等のコロナ対策を行っております。また,別途費用が発生しますが,公証人から出向いてもらって公正証書遺言を作成することも可能です。また,これも費用が発生しますが,弁護士に委任した場合,委任契約に際しては面談が原則ですが,委任後は面談しない形で準備を進め,公証役場で遺言内容を確認さえすれば作成可能ですし,必要な証人の手配も行ってもらえます。

 

 もし,これをお読みになられているのが(将来の)被相続人の方であれば,既に遺言を作成しようというお気持ちになられていると思います。でしたら,作成後はご自身の胸のうちにしまっておくのではなく,遺言を作成したことをどなたかに知らせておくのが望ましいと思います。

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