刑法の一部改正について

2019年4月26日

平成29年7月13日より,改正刑法が施行されています。

今回の改正は,性犯罪に関する規定についてなされており,具体的には以下のとおりです。

 

(1)「強姦罪」から「強制性交等罪」へ変更されました。

  変更のポイントは次の2点です。いずれも,処罰範囲が拡大しました。

 ・これまでは被害者となるのは女性だけでしたが,改正後は,男性も被害者となります。

 ・これまでは「姦淫(性交)」のみが処罰されていましたが,改正後は,「性交,肛門性交又は
  口腔性交(これらを併せて,「性交等」といいます)」が処罰されることになりました。

  従前の「準強姦罪」も,同様に「準強制性交等罪」に改められました。変更の内容は,上記と同
 様です。

  なお,「強制性交等罪」は暴行又は脅迫を用いて行うもの,「準強制性交等罪」は被害者が心神
 喪失等の状態にあるのに乗じて行うものをいいます。


(2)法定刑が引き上げられました。

  次の罪について,従前の罪から法定刑が引き上げられています。

 ・「強制性交等罪」は5年以上の有期懲役(従前の「強姦罪」は3年以上の有期懲役)

 ・「強制性交等致死傷罪」,「準強制性交等致死傷罪」は,無期又は6年以上の有期懲役(従前の
 「強姦致死傷罪」,「準強姦致死傷罪」は,無期又は5年以上の有期懲役)

  また,これまでは,強盗と強姦の両方をした者について,強盗と強姦のどちらを先に行ったかに
 より,成立する罪名が異なり,その結果,法定刑も異なっていました(強姦が先行した場合の方

 が,法定刑が軽くなっていました。)。
  改正後は,いずれの場合も「強盗・強制性交等罪」として無期又は7年以上有期懲役となります
 (強盗が先行した場合の法定刑に揃えられました。)。


(3)親告罪ではなくなりました。

        親告罪とは,起訴をするのに,被害者の告訴(捜査機関に犯罪事実を申告し,加害者の処罰を

  求める意思表示)が必要な犯罪類型のことをいいます。

   従前の強姦罪や準強姦罪は親告罪であり,起訴をするのに,被害者の告訴が必要でした。改正

  後の「強制性交等罪」「準強制性交等罪」は,被害者の告訴がなくても起訴することができるよ

  うになりました。

   また,「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」についても,罪名の変更はありませんが,

  従前と異なり,被害者の告訴がなくても起訴することができるようになりました。

   性犯罪ということから,被害者がなかなか告訴に踏み切ることができず,時間が経過する

  などして証拠が失われ,加害者の処罰が困難となるケースもありましたが,今回の改正により,

  そのようなケースでも起訴,処罰が可能となりました。

 

(4)監護者による性犯罪に関する規定が新設されました。

  「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」の規定が新設されました。

   これにより,18歳未満の者に対し,監護者(主には,実父母,養父母,実父母の内縁の妻や

  夫などが監護者にあたります)としての影響力によってわいせつな行為や性交等をした者は,

   暴行や脅迫をしなくても,「強制わいせつ罪」,「強制性交等罪」と同様に処罰されることに

  なりました。

   監護者による性犯罪については,これまでも,それが「強姦罪」や「強制わいせつ罪」に当た

  る場合は,処罰の対象となっていました。しかし,「監護者」という優越的な地位を利用するた

  め,被害者である児童が抵抗できないまま,性行為等が行われるという実態がありました。
   そこで,今回の改正は,このような問題に対処するものと言えます。

 

  今回の刑法改正は,近年における性犯罪の実情に鑑みて,実態に即した処罰を可能とすることを

 意図したもので,処罰範囲の拡大とともに厳罰化されており,大きな改正と言えます。

 

<刑事事件・少年事件のご案内はこちら>

https://y-yotsuba.com/field/criminal/

横浜の弁護士 横浜よつば法律税務事務所へのお問い合わせ 横浜の弁護士 横浜よつば税理士事務所

2019年4月26日刑事事件