【横浜 相続】弁護士が解説するエンディングノートの書き方
エンディングノートとは
「エンディングノート」とは、自身の終末期や死亡後のことについて、残される家族等に向けてのメッセージを記すノートです。遺言となると、堅苦しい、敷居が高い、まだ書きたくない、と思っていても、エンディングノートなら書いてみようかな、という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、エンディングノート=遺言だと思っていらっしゃる方もいるかもしれません(違いますよ!)。
このエンディングノートですが、記載する内容に制限はなく、形式も問いません。なので、エンディングノートには、好きなことを、好きなように書いていただくことができます。
エンディングノートに何を書く??
とはいっても、それだけの説明では、いざ書こうと思っても、なかなか書き進められないかもしれません。そこで、あくまで例ですが、こういうことを書いたらよいのではないか、という項目を示してみようと思います。
- 自身のこと:本籍、住所、氏名、生年月日、従前の職業・勤務先など
- 親族のこと:相続関係図、各親族の連絡先など→エンディングノートを読む人が、親族関係や各親族の氏名や連絡先などを正確に把握しているとは限りません。
- 自身が辿ってきた人生について
- 病気の治療方法等についての希望、延命治療の要否など→自身の希望を書くことはもちろんできますし、「誰々に判断してほしい」という書き方をすることも可能です。
- 葬儀等のこと:葬儀の規模・費用・参列者・執り行い方に関する希望、棺に入れてほしいもの、お墓を準備してあればそのお墓の情報など
- 特定の人に伝えたいメッセージなど
- 自身の財産・負債のこと:預貯金、不動産、有価証券、保険、自動車、貸金、借金、税金、年金などの定期的に受け取るもの、水道光熱費などの定期的に支払うもの、その他自身がしている契約など→エンディングノートを読む人が、財産や負債を把握するのに困らないよう、銀行や保険会社の名前、取扱支店、商品名、口座・証券等の番号、支払先の連絡先などを特定してあげるのがよいです。
- 遺言について:遺言の有無、遺言の保管場所、遺言に込めた想い、遺言作成の経過等
- ペットのこと:誰に引き取ってほしいか、どのようなことに気を付けてほしいか、好きな食べ物は何か、病歴など
- その他大切なものの保管場所など(ただし、エンディングノートを紛失した場合のことを考え、キャッシュカードの暗証番号などは書かないようにしましょう。他方で、暗証番号などが分からなくて、親族が困ることもあるのですが…。)
市販のエンディングノートでは、こうした項目ごとに記載スペースが準備されており、使いやすくできています。
エンディングノートはいつ書いても構いません。ただ、よく考えてしっかり書くためには、やはり元気なうちに書くのがよいと思います。
エンディングノートさえ書いておけば大丈夫??
しかし、どんなにしっかりした内容にしたとしても、エンディングノートには、通常法的効力がありません。法的効力のあるものを準備するには、やはり遺言を作成する必要があります。遺言は、法的効力を持たせる分、作成方式を厳格にすることで、遺言者の真意を担保していますが、エンディングノートは、通常その方式に従わずに作成されてしまうためです。
エンディングノートは意義のあるものですし、エンディングノートの形式で残すのがよい内容もきっとあるだろうと思います。しかし、自分の意思がうまく実現できない内容・形式にとどまってしまっては、困ってしまいますね。
当事務所では、エンディングノートのことについても相談をお受けしています。そして、書き残したい内容をお伺いし、遺言その他の方法で法的に準備しておく必要があるものがあるかどうか、お作りのエンディングノートで十分かどうかなどについてアドバイスをさせていただきます。お気軽にご相談ください。