一時保護時の司法審査の導入について
はじめに
以前、本ブログで、一時保護の司法審査の導入案について、お話させていただきました。
https://y-yotsuba.com/others/post-3203/
今回は、この導入案が、実際に令和7年6月から、「一時保護時の司法審査」として施行されましたので、現状について、お伝えしたいと思います。
一時保護時の司法審査の必要性
一時保護とは、児童相談所等が必要と認める場合に、子どもの安全を迅速に確保し、適切な保護を図るなどの目的のため、子どもを一時保護所などの場所に保護することをいいます。子どもの利益を守るためには、ためらいなく一時保護する必要がある一方、暫定的とはいえ、行政の判断によって親子を強制的に離れさせ、子どもの行動を制限することから、適正性の確保や手続きの透明性の確保のため、児童相談所だけの判断でなく第三者による審査が必要だと指摘されてきました。
そこで、裁判官が発布する一時保護状による司法審査が導入されることとなりました。
一時保護の要件
一時保護の要件は、以前は、児童福祉法33条により、「必要があると認められるとき」に一時保護を行うことができると規定されていましたが、改正により、「児童虐待のおそれがあるとき、少年法第6条の6第1項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であって、必要があると認めるとき」とされ、法令でより具体的に要件が規定されました。
この改正により、一時保護ができる場合は、①内閣府令に該当し、②一時保護の必要性があることが要件となり、一時保護の要件が明確になりました。
もっとも、裁判官は、内閣府令に該当していれば明らかに一時保護の必要がないと認めるときを除き、一時保護状を発布することとなっています。
内閣府令で定める場合とは、具体的には、以下のとおりとなっています。
①児童虐待防止法第二条に規定する児童虐待を受けた場合若しくはそのおそれがある場合又は児童虐待を受けるおそれがある場合
②少年法第六条の六第一項の規定による送致を受けた場合又は警察官から法第二十五条第一項若しくは児童虐待防止法第六条第一項の規定による通告を受けた場合
③児童の行動が自己若しくは他人の生命、心身若しくは財産に危害を生じさせた場合若しくはそのおそれがある場合又は危害を生じさせるおそれがある場合
④児童が自らの保護を求め、又はこれに相当する意見若しくは意向を表明した場合
⑤児童の保護者が死亡、行方不明、拘禁、疾病による病院への入院等の状態となったこと、児童が家出人であることその他の事由により、次のいずれかに該当する場合
イ 児童に保護者若しくは住居がない又はそのおそれがある場合
ロ 児童の住居が不明である又は不明となるおそれがある場合
⑥児童の保護者がその監護する児童の保護を求め、又はこれに相当する意見を表明した場合
⑦前各号に掲げるもののほか、一時保護を行わなければ児童の生命又は心身に重大な危害が生じるおそれがある場合
一時保護時の司法審査の手続きについて
この司法審査の手続きは、親権者等が一時保護に同意した場合や請求時までに一時保護を解除した場合等は除くとされています。
司法審査では、児童相談所が子どもを一時保護してから7日以内に裁判所に一時保護状を請求する必要があります。
また、親権者等の同意を確認する前提として、戸籍謄本により、親権者等の特定を行う必要があります。
その上で、親権者に一時保護の理由などを説明し、子どもや親権者の意見を聞いたうえで裁判所に提出する資料を作らなければなりません。
つまり、児童相談所は、子どもを一時保護してから7日以内(この7日間には、土日祝日も含まれます)に、これらの業務をすべて行わなければならないのです。
このように、司法審査の導入により、児童相談所の業務量が増加している現状は否定できません。
他方で、上記で述べたように、司法審査が行われることにより、一時保護の適正性、手続きの透明性が確保され、児童相談所と保護者間のトラブルの回避につながることになり、その意義は大きいものと思われます。
また、今後は、司法審査の導入に関連して、法律の専門家である弁護士が、児童相談所、場合によっては親権者や子どものそれぞれの立場から手続きに加わることも増えてくると思われます。

