祖父母は親に代わって孫の監護権者になれるの?

祖父母からの孫の相談

「娘が離婚して孫(8歳)を連れて我が家に戻ってきました。最初は、娘も孫の面倒をみていたのですが、そのうち彼氏ができて、孫の面倒をみなくなり、私たちが孫の面倒をみるようになりました。娘は孫を置いて、彼氏の家に行ってしまったので、引き続き私たちが孫の面倒をみています。孫も私たちに懐いていて、『おばあちゃんとおじいちゃんと同じ苗字にしたい』と言ってきています。『孫と養子縁組をしたい』と娘に伝えたところ、烈火のごとく怒って、『親権者は私だ!!子どもを返せ!!』と孫の引取りを要求してきています。孫は私たちと生活したいと言っています。私たちが親権をとることはできますか?」

 このような孫の養育に関する相談を祖父母の方から多々受けます。

親権とは?

 親権は、民法818条は、
 ①成年に達しない子は、父母の親権に服する。
 ②子が養子であるときは、養親の親権に服する。
 ③親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
と定めています。祖父母は、①にも②にもあたりませんので、親権者にはなれません。祖父母でも、孫と養子縁組をすることにより、②養親として親権者になれますが、民法797条に、
   養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
と定めてあり、15歳未満の子の養子縁組は、法定代理人(本件では娘)の代諾が必要になりますので、今回のように、娘が、祖父母と孫の養子縁組を承知しない場合、祖父母は孫の養親にはなれません。

父母以外の第三者が監護権者になれるか。

 では、祖父母は孫の養育について何の権限もないのでしょうか。親権者にはなれなくても、監護者になることはできないのでしょうか。
 そんな裁判が起こされ、今回最高裁判所の判断が出ました。

 裁判所は
 「父母以外の第三者は,事実上子を監護してきた者であっても,家庭裁判所に対し,子の監護に関する処分として子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることはできないと解するのが相当である。」
と判断しました。
 理由は、①民法766条1項前段は、離婚の際に子の監護について必要な事項を父母が協議して定めることを規定し、それを受けて2項で協議が調わない場合に、家庭裁判所が定めると規定しており、家庭裁判所は、父母の申立により子の監護に関する事項を定めることを予定していること、②民法やそれ以外の法律で、父母以外の第三者が家庭裁判所に子の監護に関する事項を定めるよう申立ができることを定めた規定がないこと、③子の利益は、子の監護に関する事項を定める際に最も優先して考慮しなければならないが、第三者が申立をできる根拠にはならないことを挙げています。

 これまで、実際に養育をしている祖父母が監護者指定を求めて申立ができるかが争われてきましたが、この最高裁の決定により、申立をすることができなくなりました。
 今後、祖父母が申立ができるのは、親権停止になりますが、要件がそれなりにありますので、申立を一度お考えの方は、ご相談ください。
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