「もしも手帳」をご存じですか?
はじめに
「もしも手帳」、聞いたことがあるでしょうか。
これは、横浜市医療局が発行しているもので、紙の保険証(介護保険証や後期高齢者医療保険証)と同じくらいのサイズのリーフレットです。
横浜市内の区役所の高齢・障害支援課の窓口や、地域ケアプラザで無料でもらえます。
どんな内容か?
名前のとおり、「もしも」のとき、たとえば大きなけがをしたときや病気になったときに、どのような治療やケアを受けたいか、どこで最期を迎えたいかなどをチェック方式で書いておくものです。
3つの質問がのっています!
「もしも手帳」は、わかりやすく、以下のような3つの質問にチェックできるようになっています。
【質問1】“もしも”治らない病気などになり、自分の気持ちを伝えられなくなったら、どんな治療やケアを受けて過ごしたいですか?
【質問2】“もしも”治療やケアについて、自分で決められなくなったら、代わりに誰に話し合ってほしいですか?(複数にチェック可)
【質問3】“もしも”治らない病気などになったら、どこで過ごしたいですか?(複数にチェック可)
このようなことを、書きとめておくことができます。
いつでも書き直したり、見直すことができます。
どんなときに使う?
親族や近しい人と、自分のことについて、話し合っておくことができます。
元気なうちに話しておき、記入して形に残しておくことで、お互いに安心することができます。
ただし、ひとつだけ注意したいことがあります。
それは、もしも手帳は「遺言書」や「事前指示書」ではありませんので、法的拘束力や救急現場での強制力はない、という点です。
周りの人と話し合い、自分自身のことや家族のことを考える「きっかけ」ととらえるのがよいと思います。
実際の活用場面
弁護士として、この「もしも手帳」を活用した例をご紹介します。
成年後見人として、弁護士が財産管理などのお手伝いをしていた、一人暮らしの高齢者の方が「もしも手帳」を作成されたケースです。
ご親族がおられなかったので、ケアマネジャーやケアプラザの社会福祉士、訪問診療の医師とともに、定期的にご本人に意思確認を行い、「もしも手帳」を書いておいてもらったことで、結果的にご本人の望んでいた形でお看取りをすることができました。
お元気なうちに話し、もしも手帳という形で残しておくことで、成年後見人の弁護士や、介護・医療の支援者がスムーズにサポートすることができたので、活用して本当によかったと感じています。
ご自身の気持ちを「遺言書」の形で残しておくことももちろん大切ですが、「もしも手帳」で、これからのことを考えるきっかけにすることもよいと思います。
ご興味のある方は、ぜひ「もしも手帳」をお手に取ってみて下さい。