【横浜 相続】 遺産分割協議中に相続人が新たにみつかった!?

2020年2月25日

 

 相続に関して,「今はまだ元気だけど,将来,お父さん(X)の相続のときは,お母さん(A)とお姉ちゃん(B)と私(C)が相続人だから,この3人で話し合って仲良く遺産を分ければいいんだな。」といったことをお考えになったことがあるでしょうか。

 ところが,稀に,相続開始後に,ほかにも相続人がいることが判明することがあります

 上記の例では,例えばXさんに,BさんCさんのほかに別の女性との間に子ども(D)がいることが,Xさんが亡くなった後に判明するということです。
 日常生活において,ご家族の「現在から生まれたところまでの戸籍」を遡ってたどっていくことはあまりないと思います。
 このため,例えばXさんが生前,家族にDさんの存在を説明していないような場合は,相続開始後にXさんの戸籍をたどっていく過程において,認知という記載で初めてDさんの存在が明らかになることがあるのです。

 XさんとAさんが婚姻した後にDさんが誕生しているような場合は,それが発覚した際のAさんBさんCさんの衝撃は言うまでもないところです。
 この場合,DさんがXさん・Aさん・Bさん・Cさんと全くと言っていいほど交流がなかったとしても,相続人であるDさんを除いて遺産分割協議をすることはできません。Dさんが海外在住だったりしますと,なおさら円滑な協議を阻みます。

 また,このようなケースでは,遺産分割の具体的な取得分に関しても,Dさんのことを,AさんBさんCさんと同様に,同じ相続人として尊重しなければならないことが多いように思います

 すなわち,このようなケースでは,Dさん以外の相続人の思惑とすれば,つい,「DさんはXさんを含む私たちの暮らしには全く立ち入ってこなかったのだから,Dさんには相続放棄をするよう求めたり,相続分をなしにした提案をしたりしても,Dさんは『自分はもらえるものはない。』と分かってくれるだろう。」と考えがちかもしれません。
 しかし,一方のDさんからすれば,Xさんは自分のただ一人の父親です。その意味ではBさんCさんと何ら変わりがありません。Xさんとは別に暮らしてきたという点も,それはDさんがXさんや母親に翻弄された結果であって,Dさん自身が望んだわけではないかもしれません。実の父親から愛情を注がれないことで,辛い人生を歩んできたかもしれません。
 このようなDさんにとって,遺産分割は,父親であるXさんとの関わりを実感する数少ない機会になります。もしかすると,遺産分割がXさんとの初めての関わりかもしれません。過剰な言い方をすれば,Dさんは,相続人としてきっちり遺産分割に参加し,法定相続分にしたがってXさんの財産を承継することが,Xさんの子としてこの世に生まれた唯一の証かもしれないのです。
 こう考えると,Dさんが遺産分割に強いこだわりを示すことも,当然に想定されなければなりません。

 このように,相続開始後に相続人が新たに判明した場合,遺産分割前に「これで全員であると思われた」相続人の間で描いた相続の青写真は大きく変化してしまいます
 したがって,こんなことを真剣に訊くタイミングはなかなかないとは思いますが,相続人が他にいないかということは,被相続人となるべき人がお元気なうちに確認しておくべきでしょう。
 相続される側も,もしこのような事情をお抱えてでしたら,是非お元気なうちに,相続人へきちんと説明しておくことが必要です。

 何がしかの説明がなされれば,家族として,例えば,「ではDさんも相続人であることを前提に遺産分割をどうすべきか。」「遺言を作成してはどうか。」など,Dさんの存在を前提にして議論が進展していくのではないかと思います。

 もちろん,そんな事情を妻や家族に暴露したら相続どころの騒ぎでは済まないよ,というところですが,それでも,奥様以外の信頼できる家族にだけは話をしておくとか,Dさんの存在を前提とした内容の遺言を作成してその中でDさんについての事情の説明もしたためておくとか,なるべく相続開始後のトラブルが大きくならないような努力はすべきだと思います。
 このようなことを一切せずに先立ってしまえば,家族は,遺産分割協議の長期化はもちろん,相続後に判明した事実について,もはやぶつける宛てのない悲しみや怒りに苦しむことになるのであって,その責任は非常に重たいと思います。

 

 話が次第に相続される側の方に逸れてしまいましたが、相続開始後に新たに相続人が発覚した場合は、繊細な対応が求められます。まずはご相談ください。

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2020年2月25日相続相続、遺産分割、相続人