債権回収
支払が滞った売掛金、貸金、家賃、請負代金等を請求してお金を回収することです。債権回収の方法は、3つあります。
- 相手へ手紙、メール、電話などで支払を督促する
- 相手へ訴訟等を提起する
- 相手の財産を差押えする
①相手へ支払を請求する
当事者が請求して支払ってもらえない場合でも、弁護士が内容証明郵便などで支払を請求すると支払うケースもあります。
②相手へ訴訟等を提起する
相手への法的手段は複数あります。
民事調停
簡易裁判所で調停委員を介して話合いを行う場です。
- 民事調停のメリット
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話合いですので、利用しやすい点が挙げられます。手数料も訴訟に比べて安価です。裁判所に申立用紙が備えられていますので、自分で申し立てすることができます。
話合いには調停委員が入って行いますので、感情的になるのを防げます。弁護士が調停委員の場合は調停委員が争点を整理して進行してくれます。
合意ができた場合は、その合意は確定判決と同じ効力があります。
- 民事調停のデメリット
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強制力がないため、相手が来ない場合は終了になります。
話合いのため、合意ができなければ、終了になります。裁判所が支払いなさいと決定を出してくれるわけではありません。
支払督促
「お金を支払え」という請求の場合、申立により、書類審査のみで裁判所書記官が行う審理です。
支払督促の申立→裁判所書記官による支払督促の発付→仮執行宣言の申立→仮執行宣言付支払督促という流れになります。
- 支払督促のメリット
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通常の訴訟に比べ、裁判所に納める手数料が半分になります。
書類審査のみの審理なので、裁判所へ行く必要がありませんし、証拠を提出しなくても構いません。仮執行宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがない場合は、その仮執行宣言付支払督促は、確定判決と同じ効力があります。
- 支払督促のデメリット
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相手から督促異議の申立が出た場合は、通常の裁判へ移行します。その場合、通常の裁判と同じ手数料がかかります。支払督促の申立→裁判所書記官による支払督促の発付→仮執行宣言の申立→仮執行宣言付支払督促という流れで進むため、一定の時間がかかります。2回申立するため、初めての場合は分かりづらいかもしれません。
少額訴訟
請求するお金が60万円以下の場合、申立人の求めにより、簡易裁判所において行う簡易な審理です。
- 少額訴訟のメリット
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簡易な審理のため、原則1回の裁判で終わります。提出した証拠は直ぐに調べられ、証人尋問も宣誓させないで行われます。
- 少額訴訟のデメリット
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1回で審理が終わるため、裁判当日までに証拠を全て提出しなくてはなりません。原則後で提出することはできません。相手が通常の訴訟に移行したいと求めた場合は通常の訴訟に移行します。
通常の裁判
裁判所で、双方の主張を整理して争点を明確化し、時には話合いを行い、話合いがまとまれば和解を、和解がまとまらない場合は、裁判所が判決を言い渡し、請求に対する判断をする審理です。
- 通常の裁判のメリット
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争点がはっきりとします。適当な時期に裁判官を介して相手と話し合うことができます。裁判官が、暫定的な判断を基に、相手を説得してくれることもあります。相手と話合いができない場合でも、裁判官が判決で判断してくれます。
判決が確定すると相手の財産を差し押さえることができます。
- 通常の裁判のデメリット
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自分の言い分を書面で主張し、その主張を裏付ける証拠を提出する必要があるため、弁護士を依頼しないとできないことがほとんどです。
③財産を差し押さえる
執行手続
調停の成立、仮執行宣言付支払督促、和解、判決がなされても、なお相手が支払ってこない場合は、相手の財産を強制的に差し押さえることができます。
差し押さえる財産は、申立人が探さなくてはなりませんが、民事執行法の改正により、従来より、財産の探索がしやすくなりました。
詳しくは→財産の差押えができず困ったことはありませんか?~民事執行法が改正されます~
保全手続
相手から確実にお金を回収するために、判決より前に、相手の財産を「仮に」差し押さえる制度です。「仮に」差し押さえるため、まだお金を回収できてはいませんが、仮差押えをすることにより、相手の財産が処分・費消されず、勝訴判決を得られれば、仮差押えした財産から確実にお金を回収できることから、便宜上、ここで述べたいと思います(なお、保全手続きには仮処分という制度もありますが、今回は仮差押えに限定してお話しします)。
- 保全手続の裁判のメリット
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仮差押えは、相手の土地や建物などの不動産、預貯金を仮に差し押さえることが出来ます。不動産は、仮差押えが不動産登記簿に登記されますので、相手は不動産を処分することが出来なくなります。預貯金は、金融機関に対して相手への払戻しを禁止する命令が出されますので、相手は預金を引き出せなくなります。
- 保全手続の裁判のデメリット
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判決前に相手の財産を処分できなくする制度のため、申立する人は担保を納めなくてはなりません。
また、勝訴判決を得て、はじめて仮に差し押さえた財産を差し押さえることができるため、訴訟を提起しなくてはなりません。
訴訟で負け、仮差押えによって相手に損害が発生した場合、その損害を賠償する責任を負う場合もあります。賠償責任については、以前ブログでも触れていますのでご参考にしてください。
→https://y-yotsuba.com/litigation/post-2187/
以上が債権回収の大まかな流れになります。
こんな方はご相談を
相手の財産状況、相手の言い分、交渉の経緯、証拠の有無、希望の回収期間などに応じて、執る手段は様々です。
- 「売掛金を回収できない」
- 「貸したお金を返してくれない」
- 「家賃を払ってくれない」
- 「工事代金を支払ってくれない」
- 「支払ってくれと連絡しても『月末までに払う』と言って払ってくれない」
- 「相手と連絡がとれなくなってしまった」
という方はお気軽にご相談ください。
弁護士の費用
弁護士の費用は請求する金額によります。
詳しくは弁護士費用のページを参照ください。