成年後見等の申立てを検討されている方へ

どのような場合に利用できるか

 成年後見制度とは,精神上の障害により判断能力が無い方や十分でない方を法的に守り支える制度です(横浜家庭裁判所「後見(保佐,補助)開始の申立ての手引」より)。判断能力の程度によって,後見,保佐,補助の各段階に分かれ(この順に判断能力が高くなっていきます。),後見人等の権限の範囲も異なってきます(この順に権限が狭くなっていきます。)。

 認知症の高齢者の方を対象とすることが多いと思われますが,知的障害や精神障害によって判断能力が無い,あるいは不十分な方も対象に含まれます。あくまでも「精神上の障害」が要件となりますので,身体障害者の方は対象に含まれません。ただ,いわゆる植物状態にあって意思表示が全くできない方は対象となります。

申立てをするにあたって

 まず,申立てができるのは,本人,配偶者,四親等内の親族,市区町村長です。「四親等内の親族」というのは結構広く,曾孫のお子さんであったり,配偶者の兄弟姉妹もこれに含まれます。

 次に,申立てに必要な資料には様々なものがありますが,詳細は家庭裁判所のホームページで確認いただくのがよろしいかと思います。その中でも大事な書類として,診断書が挙げられます。本人にかかりつけの医師がいれば,その医師に作成してもらうのがよいでしょうが,かかりつけ医がいなくても1か月程度の期間の診察で作成してもらってください。この点,後見と保佐については,原則として裁判所が医師に鑑定をさせなければならないとされていますが,診断書の記載内容等から明らかに必要ないと認められる場合には鑑定は不要とされていますので,可能な限り用意いただくのがよいでしょう。他方で,本人が診察を拒否する場合などで診断書が作成できない場合でも申立て自体は可能です(その場合は,原則どおり鑑定が必要になると言えます。)。

 その他にも,本人の財産に関する資料や,推定相続人の同意書等を揃え,申立書一式を作成・提出することが必要となります。

 本人を相続人とする遺産分割などの必要に迫られてから申立てを行うことが通常だと思いますが,申立てをしてから成年後見人等が専任されるまで半年くらいかかってしまうこともありますので,親族の方で判断能力が低下してきたという方がいらっしゃる場合は,早めに一度検討してみるのがよいかもしれません。

 なお,一旦後見等開始の申立てをした後は,家庭裁判所の許可がなければ申立てを取り下げることはできません。

弁護士に申立てを依頼することについて

 このように,後見等開始の申立てにあたっては,様々な資料を準備し,申立書一式を作成する必要がありますので,弁護士に依頼することで,そのような書類等の作成でお手を煩わせることはなくなります(もちろん依頼者の方のご協力が必要な部分もございます。)。

 また,後見人候補者を指定しないで申し立てた場合や,親族の方が自身を後見人候補者として申立てをされた場合でも事情によっては,専門家である弁護士が成年後見人に選任されることがあります。その場合,家庭裁判所でランダムに選任されてしまうので,全く事情を知らない第三者が成年後見人に選任されることになります。申立てにあたって,ある程度事情を把握している弁護士を後見人候補者として申立をすることも可能ですので,その場合はある程度事情も把握していて,人となりも分かっている弁護士を成年後見人に選任してもらうことが可能です。もちろん,親族の方を候補者として,弁護士は申立てのみという依頼も可能ですので,後見等開始の申立てを検討されている方は是非一度ご相談ください。

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